Policy Innovation in a Weak Democracy

Policy Innovation in a Weak Democracy:
AFTA Implementation and Trade Liberalization in the
Philippines, 1986–1998

Jenny D. Balboa
Published in 2022
Ateneo de Manila University Press & Kyoto University Press

内容

長い植民地主義から独立したが故の、ナショナリズムに根ざした保護主義的傾向が強く政治経済の脆弱な発展途上国――これが少し前までのフィリピンであったと言って間違いなかろう。こうした国にとって、貿易自由化とは、過去どれほどに不公正な条件がそこに課せられたかを考えれば、神経を逆なですると言って良いほどの重大事なのである。しかしピープルパワー革命によって発足した民主政権は注目すべき貿易改革を実行した。脆弱な経済、政治的不安定、根強い保護主義的世論のもとで、なぜそれが可能だったのか?
「脱マルコス」の政策選好のもと、皮肉なことに戒厳令時代マルコスが大統領特権を拡大するために制定した貿易法を活用して強い指導性を担保しつつ、国際投資の拡大で事業利益を多様化させようと目論んでいた経済エリートに緩やかな関税引き下げを保証することで、国内政治をまとめ上げる――いわば内外の諸条件を上手に活用したことで、アキノ政権はAFTA加盟を実現し、ラモス政権は対外志向の貿易政策を維持できたのである。
脱植民地主義のもとでの国際化と新しい開かれた地域主義への道に大きな示唆を与えるフィリピンの経験を活写した好著としてお勧めする。