Central Banking As State Building

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17. Central Banking as State Building: Policymakers and Their Nationalism in the Philippines, 1933-1964.
Yusuke Takagi. March, 2016.

 

内容

1949年、フィリピン中央銀行は、当時まだ影響力の大きかった米国資本家の反対を押し切り設立された。開業直後から、同行は、植民地期に確立した米国向け一次産品輸出に依存した経済構造を変革するため、為替管理を通じた輸入代替工業化を推進した。しかしながら、一次産品輸出業界には、既に植民地期からフィリピン資本家が参入していたため、輸入代替工業化は、フィリピン政府とフィリピン人砂糖業界と在比米国資本などの既得権益との衝突を招いた。本書は、フィリピン政府が経済構造改革にまい進した1950年代の政治過程を、実際に政府を支えたフィリピン人政策当事者の理念と行動を再構成することで分析した。分析を通じ、従来は「弱い」とみなされてきたフィリピン国家においても、社会経済構造改革を変革しうるような「強い国家の小島」としての中央銀行の役割が見出しうること、そうした中央銀行の役割は既得権益による反対ではなく、1962年の為替管理撤廃という政策変更、すなわち政府内部の判断により影響力を失ったことを明らかにした。本書は、従来のフィリピン政治研究の通説に挑戦する試みである。