Identity and Pleasure

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Ariel2014

 

 
 

Identity and Pleasure: The Politics of Indonesian Screen Culture.
Ariel Heryanto. August, 2014.

 

内容

21世紀最初の10年――スハルト体制崩壊後のインドネシアの政治的言説は,嵐の中の大波のように上下した. いわば「権力の真空状態」の中で生まれた楽観主義のエネルギーは,いくらも経たないうちに方向性を失い,幻滅と絶望に変わる. 政治的・社会的「現実」の壁の前に楽観から悲観へと移ろうことは,体制変換期にありがちな,一種当然な反応であろう. ただ,こうした言説を伝える媒体が多様化し,「書かれたもの」が中心で, しかも一方向的な従来型のメディアから,視覚的で双方向的なメディアが普及したことは,政治的言説の振幅の幅を大きくしたことは間違いない. 権威主義的「新秩序」が崩れた後,インドネシアは,そのアイデンティティをどう再定義しようとしたのか? 「スクリーンの文化」(映画,テレビ,ソーシャルメディア)に登場した表現豊かな言説の分析を通じて,インドネシアの政治文化の「今」を生き生きと語ると同時に,「インドネシア」とは何だったのか?その歴史性をも明らかにする意欲作.