Violence and Democracy

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27. Violence and Democracy: The Collapse of One-Party Dominant Rule in India

NAKAMIZO Kazuya.

刊行日:2020年6月10日
出版社:京都大学学術出版会・Trans Pacific Press

 

内容

盤石の支配を誇ったインド国民会議派は、なぜ凋落したのか。本書は「暴動への対処法」を切り口に、会議派支配崩壊の過程を詳細なフィールドワークに基づいて明らかにする。1000人以上が犠牲になった1989年バーガルプル暴動、約300名の貧農を虐殺した地主の私兵集団、低カーストに対する積極的格差是正措置の導入を契機としたカースト間の暴力的対立を、インタビューを駆使して明らかにした分析は臨場感に満ちている。主要な調査対象をインド北部のビハール州に置きつつも、中央・州・県・村それぞれのレベルを交差させて重層的に分析し、社会経済的な変化も取り込んで宗教アイデンティティとカースト・アイデンティティの相互作用を丹念に検証した政治分析は、会議派支配の崩壊とアイデンティティ政党の台頭を包括的に体系立てて解明している。現在、インドで勢いを増すヒンドゥー至上主義を理解するためにも、世界各地で進行する民主主義の危機を理解するためにも、必読の書である。