At the Edge of Mangrove Forest

This post is also available in: 英語

29. At the Edge of Mangrove Forest: The Suku Asli and the Quest for Indigeneity, Ethnicity, and Development

OSAWA Takamasa

発行日:2022年6月20日
発行元:京都大学学術出版会・Trans Pacific Press

 

 

 

内容
インドネシア・スマトラ島東岸に住むスク・アスリの人々――かつて彼らは,明確で固定的な民族的境界やアイデンティティを欠いたまま,オラン・ウタン(森の人)として知られていた。しかし2005年以降,彼らは「スク・アスリ」(先住民の意)という新しい民族名を名乗り,独自のアダット(伝統),固有のアイデンティティを持つ集団としての地位を主張し始めた。このアイデンティティの出現は何を意味するのか?
自律/自立を求める「先住民」の希望と,周縁の民を捕捉しようという国家の思惑のせめぎ合いの中で,歴史の中で培われてきた,人々の暗黙の言語化されない無意識のアイデンティティと「場所」とのつながりすなわち「土着性」が意識されていく。国家による先住民像を「体現」し,あるいはそれに抵抗し変革し,自らの地位を確立してきた民族誌を通じて,存在論,認識論としての「先住民性」を考察する意欲作。